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「瞑想の効果 本当のところどうなの?」 のお話

ニューノーマル時代、SNS等でマインドフルネス・メディテーションに関する記事が目立ち始めています。


記事では、マインドフルネス・メディテーションの効果や目的を「リラクゼーション」「ハッピー・ハイテンションになり気分がよくなる」「宇宙と交信して宇宙とつながる」と書いているものや、「心が強くなる」「心の筋トレ」と書いてあるものも。


実際にメディテーションプラクティスをしている人の体感が1つのバロメーターであることから、本当のところはどうなのでしょうか?


以前、「心の筋トレ アスリート瞑想のすすめ」で、なぜトップアスリートが瞑想を行うのか?について、スポーツ心理学のメンタルトレーニングと比較をしながらお話しました。


今回は、「マインドフルネス・メディテーションの効果」についてお話します。

マインドフルネス・メディテーションは、世界で最も医学的・科学的研究が進んでいる瞑想法

この瞑想は、紀元前5世紀にブッタによって提唱された「心を整える仏教の基本的なトレーニング」で、インドからアジア諸国に伝播され、禅、ヴィパッサナー、チベット仏教瞑想の一部として発展しました。


このメディテーションが欧米に渡ると、最初は「東洋の神秘」というイメージで広まっていったのですが、メディテーションを行っている人の行動や性格に「優しくなった」等の効果が見られるようになると、その効果を医科学的に研究してみようという動きが始まりました。そして、CT、MRI等の医療技術の進歩により、1971年頃から、世界で最も研究の進んだ瞑想法となっていったのです。


例えば

  1. チベット仏教の僧侶(YongeyMingyur Rinpoche ヨンゲイ・ミンゲール・リンポチェ)の脳を27歳頃から14年間に渡って撮影した結果、「脳の老化のスピードが遅い」「20代後半で成熟していく脳の部分の成熟が早い」という論文報告

  2. アンチエイジングの研究で「テロメアの長さ」が若さの秘訣と言われている中、メディテーションを行っている人の方が「テロメアが短くなるスピードが遅い」という報告

など、様々な分野でマインドフルネス・メディテーションの効果について研究が進められています。

日本では「マインドフルネス・メディテーション」というと、「マインドフルネスストレス低減法 (MBSR Mindfulness Based Stress Reduction)が有名です。この分野でも、マインドフルネス・メディテーションの効果については研究されており、米国衛生研究所やハーバート大学による、「脳の海馬や偏桃体に顕著に変化が表れている」という臨床結果の報告があります


2000年頃、医科学の研究報告がもとで、会社経営者・セレブ・トップアスリートらが積極的にマインドフルネス・メディテーションを始めたことから、「マインドフルネス革命」が起き、企業の研修などにも積極的に取り入れられるようになりました。今では、ヨーロッパの小学校でもメディテーションを取り入れています。


最近では、日本でも、「働き方改革」を機にマインドフルネス・メディテーションを会社の福利厚生ブログラムに取り入れ始めるなど、MBSR以外のマインドフルネス・メディテーションが広がり始めています。


「マインドフルネス・メディテーション」の効果


マインドフルネメディテーションとは、心と体をシンクロさせるトレーニングで、「心の筋トレ」と言われています。


私が勉強をしているチベット仏教哲学のメソッドをベースにしたメディテーションは、マインドフルネス・メディテーション、アウエアネス・メディテーション、コンパション・メディテーション等の段階があり、それぞれ目的と効果も異なります。しかし、「リラクゼーション」「メディテーションハッピー・ハイテンションになり気分がよくなる」「宇宙と交信して宇宙とつながる」ということは目指しませんし、そのような効果もありません。


このマインドフルネス・メディテーションは、チベット仏教哲学のメソッドをベースにしたメディテーションの基盤で、マインドフルの状態を目指します。マインドフルの状態とは、「マインド(心)+フル(満たす・充実)」な状態を意味し、「全ての動作や所作に意識がいきわたっている状態、『今』『ここ』に意識を置く状態」を意味します。

その主な効果は:

  1. 心の明晰さ(精密に何がどうなっているのかをみることができる力)

  2. 心のしなやかさ・強さ(思考や感情に実態や重さがないこと、思考の癖を知り、それに振り回されない力、先入観をもって評価判断しない力)

  3. 心の安定性(心を落ち着かせる、散漫な思考をひとところに置く)

であり、感情コントロール、ストレス軽減、睡眠の質の向上、集中力向上、血圧の安定、血糖値の軽減、免疫力の向上等が、副次的な効果として捉えられています。


なぜ、「今」「ここ」に意識を置くことが「マインドフル」な状態と言われているのでしょうか?2010年のハーバードスタディーにそのヒントがあります。

研究によると、「人は起きている時間の内46.9%の時間を、実際にやっていることとは異なることを考えている。例えば、散歩をしている時、食事をしている時、買い物をしている時、テレビを観てる時等に、その行為以外のことを考えいる」ということが報告されています。


つまり、人は約47%の時間マインドの世界にいて、「今」「ここ」の現実の世界にいないということです。そして、この研究によると、そのような状態にいる人は、「ハッピーではない、心が満たされていない」ということもわかったそうです。


「マルチタスクが上手な人は生産性も高い」ということを聞いたことがあるかと思いますが、実は、そうでもないようです。マルチタスクを行っている時は、一度に複数のことを考えているということ。つまり、「実際にやっていることと頭で考えていることと異なることが多く、生産性が悪く、アウトプットの質もさほど高くはない」ということもわかってきています。なので、多くの企業のリーダーは、プレッシャーの中でも的確な判断ができるように、マインドフルネス・メディテーションのプラクティスをしているのです。


スポーツ現場ではどのように活用されているのか?

スポーツの世界では、アメリカンフットボ―ルのシアトル・シーホークスが、瞑想をトレーニングに取り入れていることは有名ですよね。


スポーツの現場で瞑想を取り入れるのは、、最高のパフォーマンスをするには、極度の緊張(インテンシティー)と準備のバランスが取れている必要があり、自分を知り、練習で鍛え、冷静な緊張感を持って試合に臨むことが最終的な成功につながるからです。


アメリカ心理学会(APA)でも、ストレス対策の1つにマインドフルネス・メディテーションをあげていますし、スポーツ心理学の教科書でも、マインドフルネス・メディテーションをメンタルトレーニングに取り入れる方法を紹介しています。


マインドフルネスがゴルフのパフォーマンス向上のカギ」と言う内容の記事にも、スポーツにおけるパフォーマンス向上との関係に関するヒントがあります。


この記事によると、「スコットランドのトップ選手は、試合中、大事な場面でショットを打つ前と後のマインドについて検証をした結果、自分の注意・集中に影響を与える要因を知っていて、マインドフルネスの状態に戻す事ができることから、試合で結果を出す事ができる」と書いてあります。「自分の注意・集中に影響を与える要因を知っている」とは、メタ認知(meta-attention)つまり、客観的に自分の感情をみる力・自分を客観視できる力 (an awareness of the factors that influence an individual’s attention)が備わっているということです。 


タイガーウッズ選手が行ってなっいる10-step psychology routine (ミスショットの後にフェアウェイに向かう10ステップでその事を忘れる)と同様に、メンタルトレーニングで得たスキルを用いる事で、ミスショットの後でもマインドフルネスの状態に戻し、冷静に次のショットを打つことができるのです。


アスリートのマインドフルネス・メディテーションのトレーニングでは、「心と体をシンクロさせ、全ての動作に意識を行き渡せる、意識をひとところに置く、感情や思考に囚われないで、今、この瞬間をありのままにとらえる」練習をし、徐々に自分の心の動きや感情、そして自分の周りで起きていることを客観視することができるようにするのです。


つまり、ゾ―ン状態を作る練習です。アスリートがマインドフルネス・メディテー

ションをトレーニングに取り入れるのも、このことからです。


マインドフルネス・メディテーションとヘルスコーチング


このように、マインドフルネス・メディテーションには様々な効果があります。しかし、残念ながら即効性はありません。 

メディテーションは、思考の癖やパターンに気づいて、それに固執しない心の力をつけていきます。


思考は、脳科学的にみて、神経細胞の電気信号で、思考の癖は、その神経細胞同士のつながりです。このつながりが強いと反応が早くなり、それが癖となります。つまり、思考の癖は、情報や経験等の結果として培われたものなのです。

したがって、まずは心を落ち着けて、時間をかけてその癖に気がついていくことが必要です。そして、繰り返し繰り返し実践を行うことで、徐々に効果が現れてきます。

メディテーションは、リラクゼーションと考えられ「今あるストレスや不安を忘れて、ハッピー・ハイテンションに気分がよくなるもの」と誤解されがちです。しかし、ヘルスコーチがマインドフルネス・メディテーションを推奨するのは、その場限りのフェイクリラックスゼーションを与える為ではありません。

勿論、イメージトレーニングとして、海辺等を想像してリラックスを感じるようにするタイプのメディテーションもあります。これをファスト・メディテーション(Fast Meditation)と言います。非常にストレスが強い場合等、一時避難的にリラックスする手法としては有効ですが、メディテーションを止めると元の不安な状態に戻ります。

私が勉強をしているチベット仏教の伝統では、メディテーションを学ぶ、実践する生き方を「The Path of Worrier (勇者の道)」と呼びます。それは、メディテーションして心と向き合うことが、「自分の色々な思考と向き合う」こと、先の見えない不安や恐怖がある状況でも、誠実に自分の心と向き合うことを選んで生きることである、ということを意味しています。だからこそ、しなやかで強い心と思いやりと優しさを持って、自分と世界と向き合うことが必要と言われます。

ヘルスコーチがメディテーションを推奨する場合、メディテーションを必要としている人に、正しいやり方を伝え、プラクティスを続ける手助けをします。そして、誠実に自分と向き合うプロセスをサポートします。これは、ヘルスコーチングのプロセスと同様です。ヘルスコーチは、セラピストでもスピリチュアル・ヒーラーでもないし、リラクゼーションを与えるものでもなく、心を治すものでもありません。メディテーションの指導者も同じです。

一緒に問題の根本原因を探り、目標達成へのプロセスを自らの力で進めるサポートをするのと同様に、一緒に坐り、正しく座れるように責任をもって見守るだけです。


ニューノーマル時代だからこそ、マインドフルネス・メディテーションにチャレンジしてみてはいかがでしょうか? 心を落ち着かせ、明晰に状況を洞察し、そして思いやりを持って、家族や友人、職場の仲間たちと過ごせる心の力を培うことができる力があります。これがマインドフルネス・メディテーションの力です。


以前blogの「幸せで健康に生きる為に必要なもの」でお話をしましたが、人とのつながり、社会とのつながりは大切です。

ヘルスコーチを選択する際も、メディテーションの指導者を選択する際も、「何が目的でヘルスコーチング・メディテーションを行うのか?」を明確にすることで、適切なコーチ・指導者を選ぶことができます。




 
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