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  • Lottie

「たんぱく質、植物性?動物性? どっちがよいの?」のお話

2020年も半分終わりました。


上半期は、アスリート、ビジネスマン、プロフェッショナルの皆さんのみならず、世界中の人々に大きな影響を与えたコロナウイルスに色々考えさせられたと思います。


そして、「このままでいいのかな?」と悩んだ方もきっと多いはず。


緊急事態宣言中、私にできることは何か?と考えている時、私の前十字靭帯再建手術をしてくださったスポーツドクターから提案をいただき、「Athlete Wellness™」の啓蒙活動を4回行いました。 


コロナで練習ができなくて不安なことが沢山ある中、「今だからこそ考えてほしいこと」をテーマに、


スポーツドクターからは、

「コロナに負けない体とは何か?」


私からは、

「コロナに負けない体を作る、しっかりとリカバリーをして練習ができる体に必要な『食事の選択の質を上げる、体内炎症や腸内環境に改善する食べ方』とは何か?」


という内容を、身近な食材を使った実験を交えてお話しました。


その時のお話の内容をヒントに、自ら行動されたアスリート数人から、

「体調が良くなった!体は絶好調!ありがとうございました!」

と後日連絡がありました。本当に嬉しく思いました。


練習が再開された今、皆さん前向きに頑張っていると思います。そして、しっかりと結果につながると思っています。


さて、この4回のAthlete Wellness™の啓蒙活動で一番多かったのは、「たんぱく質」に関する質問でした。「どのプロテインパウダーが良いのか?」「植物性プロテインのほうが良いのか?」「〇〇〇に書いてあることは本当はどうなのか?」等、ネットや雑誌に掲載されている情報のうち、どの情報が正しいのか?と迷っているアスリートが多いことを知りました。


確かに、2019年秋「ゲームチェンジャースポーツ栄養学の真実」が公開され、植物性食やヴィーガンアスリートへの関心は高まりました。


私も以前から植物性食には関心がありましたが、ヘルスコーチの勉強を始めて、医科学や栄養学の視点からあらゆる食べ方を学ぶ過程で、植物性食・動物性食それぞれのメリット・デメリットを知りました。

栄養学・栄養科学は、医科学と同様複雑で且つ日進月歩。唯一言えることは、「生物学的個性とその人の生活環境・価値にあった食べ方を選択する、できるだけ自然に近い本物の食べ物を選択する」こと。つまり、万人に合う食べ方・ダイエット法はないということです。


そこで、海外の最新の情報を確認しながら「たんぱく質、植物性?動物性?どちらがよいの?」をテーマにまとめてみました。


たんぱく質とは?


たんぱく質は、筋肉、骨、皮膚、髪、そして事実上他のすべての体の部分や組織に存在します。また、多くの化学反応を促進する酵素と、血液中の酸素を運ぶヘモグロビンを構成します。少なくとも10,000の異なるたんぱく質が私達を形成しています。


たんぱく質は、20以上のアミノ酸から作られています。そのうち、体内で作ることができない9種類のアミノ酸(ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリン)を「必須アミノ酸」と言い、食べ物から摂る必要があります。


ここで押さえておきたいのは、世界中の多くの人、特に幼児は、食料供給の問題で、十分なたんぱく質を摂ることができないこと。一方、アメリカや先進国の健康な大人は、たんぱく質が豊富に含まれている植物性・動物性食を沢山摂ることができることから、たんぱく質不足になることは稀です。むしろ、必要以上のたんぱく質(特に動物性たんぱく質)を摂っている人が、アメリカには沢山います。(1) また、私達がプロテインパウダー等のサプリメントを摂る目的は、「食事では取りきれないたんぱく質を補うため」という観点を忘れないことが大切です。


完全なたんぱく質とは?


栄養学を勉強したことがある人やフィットネス業界にいる人であれば、「完全なたんぱく質」(英語では “complete protein”)という言葉を聞いたことがあると思います。「完全なたんぱく質」とは、体を生成するために必要な20種類以上のアミノ酸(必須アミノ酸を含む)が全て含まれているたんぱく質を指します。また、必須アミノ酸が1つでも欠けているたんぱく質は、「完全なたんぱく質ではない」とカテゴリーされます。よって、動物性食(例えば、肉、魚、卵、乳製品)は、「完全なたんぱく質」と言われ、植物性食(例えば、果物、野菜、穀物、ナッツ、種子)は、全ての必須アミノ酸が含まれていないものもあることから、「完全なたんぱく質ではない」と言われているのです。ただし、植物性食を好んで食べる人は、バラエティにとんだ植物性食を摂ることで、必須アミノ酸の全てを摂ることができますし、植物性食の中で「完全なたんぱく質」と呼ばれているキヌアやチアシード等の植物性食品を摂ることでも、その問題は解決されます。


たんぱく質はパッケージで考える(2)


たんぱく質は、必須の主要栄養素です。しかし、たんぱく質の全ての食物源が同じように作られているわけではありません。したがって、私たちがたんぱく質を食べる時に意識すべきことは、「たんぱく質と一緒に、他の栄養素(例えば脂質、食物繊維、ナトリウムなど)も摂っているのだ」ということ。


例えば、1カップの調理されたレンズ豆には、18グラムのたんぱく質、15グラムの食物繊維が含まれており、飽和脂肪酸やナトリウムはほとんど含まれていません。


一方、4オンス(約113グラム)の焼いたサーロインステーキには、33グラムのたんぱく質、5グラムの飽和脂肪酸が含まれています。


また、4オンス(約113グラム)のグリルサーモンには、30グラムのたんぱく質が含まれており、ナトリウムの量は少なく、1グラムの飽和脂肪酸が含まれていますが、オメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。


このように、たんぱく質を摂る際は他の栄養素も一緒に摂ることから、アメリカでは、たんぱく質の食物源を「プロテインパッケージ」と呼んでいます。「たんぱく質と健康」について検証した研究はいくつかあり、エビデンスベースの結論は、「豆、ナッツ、魚または赤身の肉、加工肉より、トリ(鶏)を摂るほうが心臓病、糖尿病、ガン、骨の健康、肥満等の予防につながる」そうです。(3~7) つまり、プロテインパッケージが私たちの健康に影響を与えることもわかってきていることから、どのたんぱく質を選択するのかを、「パッケージで考える」ことが主流になってきています。


「ゲームチェンジャースポーツ栄養学の真実」を観た方なら、「プロテインパッケージ」の話はより理解しやすいかと思います。私は、「適した食事・たんぱく質は何か?」という話をする時に、結果をだすには「アスリートウエルネス」が最重要課題と伝えたうえで、体内炎症・リカバリーを優先に考えて植物性食を積極的に摂るように推奨しています。


植物性?動物性?どちらを選択するべきか?


たんぱく質を摂る場合、植物性・動物性どちらにもメリット・デメリットがありますが、別の切り口としては、「環境への影響」という観点もあります。「ゲームチェンジャースポーツ栄養学の真実」でも、温暖化や環境破壊に関する問題について触れていますが、温室効果ガスとの関連で考えると、動物性食のほうが植物性食より大きな影響があるようです。


結論は、Your plate is your life.™ (あなたの食事にはあなたの人生が反映している)だと思います。たんぱく質は私たちの生命を維持する為には必要不可欠な栄養素。あらゆる食材にたんぱく質が含まれており、必要な量のたんぱく質を摂ることは簡単です。摂取量の目安は、1.2~2.0g/kg/日で、0.3/kg/mealに分けて摂るとよいと考えられており、運動レベルによっては、2.0g/kgでは足りないそうです。(8)


しかし、「プロテインパッケージ」で考えると、全てのたんぱく質は同じではありません。植物性?動物性?両方?どのたんぱく質を摂るのか?あなたの生物学的個性と価値を考慮し、あたなの目標と目的で、柔軟に判断するのがよいのではないでしょうか?




Disclaimer:

The information contained herein is provided for informational purposes only and is not meant to substitute for the advice provided by your doctor or other health care professional. You should not use the information for diagnosing or treating a health problem or disease.


参考文献


  1. Fehrenbach Ks, Righter AC, Santo RE. “A critical examination of the available data sources for estimating meat and protein consumption in the USA” Public health nutrition (2016) Jun;19(8):1358-67

  2. Harvard school of public health nutrition source "Protein"(https://www.hsph.harvard.edu/nutritionsource/what-should-you-eat/protein/)

  3. 心臓病に関する参考文献

    1. Bernstein AM, Sun Q Hu FB, Stampfer MJ, Manson JE, Willett WC. “Major dietary protein sources and risk of coronary heart disease in women” Circulation (2010) Aug 31;122 (9):876-83

    2. Pan A, Sun Q Bernstein AM, Schulze MA, Manson JE, Stampfer MJ, Willett WC, Hu FB. “Red meat consumption and mortality: results from 2 prospective cohort studies” Archives of internal medicine (2012) Apr 9; 172 (7):555-63

    3. Bernstine Am, Pan A, Rexrode KM, Stamfer M, Hu FB, Mozaffarian D, Willett WC. “Dietary protein sources and the risk of strake in men and women” Stroke (2011) Jan 1: STROKEAHA-111

  4. 糖尿病に関する参考文献

    1. Pan A, Sun A Bernstein AM, Schulze MA, Manson JE, Willett WC, HU FB.”Red meat consumption and risk of type 2 diabetes:3 cohorts of US adults and an updated meta analysis” The American journal of clinical nutrition (2011 Aug 10;94(4):1088-96

    2. Pan A, Sun Q Bernstein AM, Manson JE, Willett WC, Hu FB. “Changes in read meat consumption and subsequent risk of type 2 diabetes mellitus:three cohorts of US men and women” JAMA internal medicine 2013 Jul 22; 173 (14):1328-35

    3. Halton TL, Liu S, Manson JE, Hu FB . Low-carbohydrate-diet score and risk of type 2 diabetes in women THe American journal of clinical nutrition (2008) Feb 1;87(2):339-46

  5. がんに関する参考文献

    1.  Pan A, Sun Q Bernstein AM, Manson JE, Willett WC, Hu FB “Red meat consumption and mortality:results from 2 prospective cohort studies” Archives of internal medicine (2012) Apr 9;172(2):555-63

    2. Bouvard V, Loomis D, Guyton KZ, Grosse Y, El Ghissassi F, Benbrahim-Talla L, Guha N, Mattock H, Straif K. “Carcinogenicity of consumption of red and processed meat”. The lancet oncology (2015) Dec 1; 16:1599-600 

  6. 骨に関する参考文献

    1. Darling AL, Millward DJ, Torgerson DJ, Hewitt CE, Lanham-New SA. Dietary protein and bone health: a systematic review and meta analysis The American Journal of clinical nutrition (2009) NOv 4;90(6):1674-92 

  7. 肥満に関する参考文献

    1. Mozaffarian D, Hao T, Rimm EB, Willett WC, HU FB “Changes in diet and lifestyle and long-term weight gain in women and men” New England Journal of Medicine (2011) Jun 23;364 (25):2392-404

    2. Smith JD, Hou T, Ludwig DS, Rimm EB, Willett W, HU FB, Mozaffarian D.”CHange in intake of protein foods, carbohydrate amount and quality, and long-term weight change: results from 3 prospective cohorts THe American journal of clinical nutrition (2015) Apr 8;101(6):1216-24

    3. Li SS, Kendall CW, de Souza RJ, Jayalath VH, Cozma AI, Ja V, Mirrahimk A, Chiavaroli L, Augustin LS, Blanco Mejia S, Leiter LA “Dietary pulse, satiety and food intake: A systematic review and meta analysis of acute feeding trials” Obesity 2014 Aug;22(8):1773-80 

  8. Nutrition and Athletic Performance Med Sic Sports exercise,2016 Mar ;48(3):535ー68

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