ヘルスコーチとして活動を始めてから、若干27歳にして亡くなった知人のことをよく思い出します。また、とても優秀なロイヤーが脳梗塞になり、パートナーの道を断たれたという話も。私も大手法律事務所で働いていたので、「結果を出す」ということがどれだけ大変か知っています。
このようなケースは稀かもしれませんが、多くの人は大きな病気や怪我をしない限り「健康・ウエルネス」について深く考える機会がありません。
私もそうでした。
「時間に追われて食べるのを忘れる」
「パフォーマンス向上の為にスポーツ栄養学に基づいた食事を摂る」
「体力・筋力向上の為にトレーニングをする」
「体重を落としたいから、ダイエットをする」
「ストレス発散の為にストレス食いをする」
ヘルスコーチングを受けていただいた方やAthlete Wellness™の啓蒙で出会ったアスリートの方のお話を聞いていると、共通点があることに気づきました。
アスリート、ビジネスエグゼクティブ、プロフェッショナルである前に一人の人間であることを忘れて目標達成に向けて頑張っている
多くの人は、目標達成に必要な「技術」を磨くことにフォーカスをし、結果が出なければ「挫折をする」もしくは「気合が足りない」「努力がたりない」と思いもっと追い込む
気合と不安の狭間で悩みながら、知らず知らず自分の健康・ウエルネスを犠牲にしている
このような状態では、心技体のバランスは崩れ、短期的な目標達成はできても、長期的な目標の達成は困難になります。
私は、ヘルスコーチング、スポーツ心理学の勉強を通じて、「健康・ウエルネスは単なるゴールではなく、目標達成に必要な手段だ」と気づかされました。
そして、体的、精神的、社会的な生活面環境をホリスティック(統合的)にみて、目標達成に必要な「心技体」のバランスを整え、ライフステージ、生活環境等の変更に対応できるAthlete Wellness™を得ることで、良質なエネルギーを得ることができ、長期的な目標達成に向けてチャレンジし続けることができることも。
このような気づきを経て、私は、仕事をしながら、怪我や年齢等様々な課題を乗り越えて、昨年、長年の目標であった「スカッシュで全日本選手権出場」を達成することができました。
「食べる」という行為は、生きていくために必要なことであり、様々なことを教えてくれます。また、時には、私たちの生きざまをも表します。
私たちホリスティックヘルスコーチは、「食べる」という行為を通じて、クライアントの様々な課題とその根本原因を探り、アカウンタビリティーコーチとして、クライアントの目標達成のジャーニーを一緒に歩み、サポートをします。
目標未達に終わる根本原因へのアプローチこそが目標達成への近道
「シリコンバレー式自分を変える最強の食事」の著者Dave Asprey氏は、彼の本「Game Changers」で「成功者の法則」について紹介しています。この本に書いてあることは、IIN™で学んだことが多く含まれています。
“The Future of Hacking Yourself is Now”という章では、最高のパフォーマンスを可能とする法則を生物学的視点で整理していて、今までの「常識的なアプローチ」ではなく、生物学的個性を考慮してた統合的なアプローチや「健康・ウエルネスは目的ではなく手段であること」を考えさせられる内容が書かれています。
この章で紹介されている医師はIIN™で講師をしており、私も彼らの講義を受けました。
私はこの本を読んだ時、ホリスティックヘルスコーチとしての活動ミッションと重ね合わせて、
「成功の定義は様々だが、誰もが『成功者』になりたい思っている」
そして、
「成功者になる人は、自分の行動の選択と責任への自覚を持ち、自分の思考や行動によって自らを成功に導くために、”connecting the dots” 点と点を線でつないで、その経験を活かせるような統合的なアプローチを取り入れ、常に成長し続ける為にチャレンジをしている」
と改めて思いました。
私は、目標達成には、これからご紹介する3つの法則が重要だと考えています。
法則1:目的と目標の明確化
最高のパフォーマンスをサポートする上で行う作業の1つに「目標設定」があります。そして、目標達成までに「いつ、何をやるのか?」ということを可視化して行動します。しかし、約70%の確率で設定した目標が未達になるそうです。
その理由は何でしょうか?
「トレーニングが足りなかった」
「努力が足りなかった」
「無理な目標を設定した」
「目標が曖昧だった」
理由は様々ですが、「マインドセット」が根本原因と考えられています。
人の行動は、その人の人生の目標に対するマインドセットが影響していきます。
勿論、人生の目標はライフステージで変わります。
重要なのは、目標に対する目的を明確にすること。ここで言う、目的とは「スポーツの結果」、「仕事の結果」にフォーカスした目的ではなく、もっと広く捉えて考えます。その目的が私たちの体・行動全てに影響を与えるのです。
先日の「大阪なおみ選手の全米OP優勝」を例に考えてみましょう。
全米OP優勝は、その大会に参加している選手全てが目指す目標です。しかし、今回、大阪選手には「勝ち続けることで彼女が訴えたいメッセージを伝えることができる、多くの人に『人種差別』について考えてもらうきっかけを作ることができる」という目的もあったと思います。
目的は、すごく包括的で、全てに関連性があり、そして、自分はもっと大きなものと関係していることを教えてくれます。その目的と目標を結びつけることで、1つ1つのステップがわかりやすくなっていき、その目的が私たちの行動のドライバーになり、体、心、マインドを繋ぎ、私たちに自信やモチベーションを与え、障害を乗り越えチャレンジし続ける力を与えてくれます。(※)
法則2:ライフスタイル等、私たちを取り巻く環境が食事とパフォーマンス・行動に影響を与える
良質のエネルギーの有無はパフォーマンスにも影響を与えます。私たちホリスティックヘルスコーチは、良質のエネルギーを得るには(1)Primary Food(2)Secondary Foodと2つの栄養が必要だと考えています。ここで言うPrimary Foodとは、ライフスタイル、対人関係、ソーシャルヘルス、家庭環境、キャリア、金銭等私たちを取り巻く環境から得られる心の栄養を指し、Secondary Foodとは、生命活動に必要な食事から得られる体の栄養を指します。
勿論、パフォーマンス向上のために体の栄養は必要ですが、栄養素、カロリー摂取とカロリー消費を考慮した食事をするだけでよいのでしょうか? (※※)
何を食べるか?食べたいか?は、その時の気分に左右されますよね。また、あなたの行っているスポーツに対して、ご家族の理解や協力があったり、練習仲間やトレーナー・コーチとの関係が良かったりすると、「練習したい、トレーニングをしたい」と思い、ジム等の練習場に行きますよね。仕事も同じです。ご家族の理解や協力、仕事場の同僚や上司との関係によっては、仕事場に行きたいと思いますよね。
次の例で考えてみましょう。
アスリート・スポーツ愛好家のあなたは、怪我をしていて練習に参加することができません。
怪我で練習に参加できないあなたは、イライラしたり、落ち込んだり。また、練習に行くというルーティーンから離れ、練習や試合で会う仲間と距離ができてしまう。そして、「どうでもよくなった!」と投げやりになる。
プレッシャーの中、長時間働く。
長時間デスクに座っての仕事のストレスから、あまりよく寝れないあなたは、夜遅くにメールに返事をすることにイライラしてストレスを感じ、配偶者や家族にあたってしまう。1日のほとんどの時間、自分のデスクでテイクアウトの食事を摂りながら会議・電話をする。そして、心身ともに疲れてしまい、気分がふせて、ミッドライフ・クライシス(mid life crisis中年危機)になると感じる。
これらの事例には、メンタルヘルス、対人関係、職場環境、ソーシャルヘルス、食事等、私たちを取り巻く環境1つ1つの問題が含まれています。
これらの問題は、それぞれが関連していて、これらの1つを改善することで、他の問題の解決につながることがあります。
例えば、怪我でやる気をなくしているアスリート・スポーツ愛好家が、その時できる運動をやることで、少しは気分転換になり前向きになることがあります。
また、ミッドライフ・クライシスになると感じている人が、その人に合ったリラクゼーション方法を取り入れることができれば、少しは気持ちに余裕ができ、配偶者・家族との会話を楽しんだり、食事を楽しむことができたりと、他の問題解決の糸口になっていくのです。
私はこの両方を経験しています。ご参考までに、私の実例をご紹介します。
「怪我をして練習ができなかった時」:私は、スカッシュで結果が出始めた時に、MPFL靭帯のラテラルリリースとACL再建と、2回手術をしています。特にACLの時に取り入れたのは、術前にリハビリ計画やその時の状態についてリハビリ担当の先生としっかり協議をし、実際の患者さんの状態(例えば、術後2週間目の状態を見せてもらったり)を確認しました。そして、術後は1つ1つできるようになることに対してポジティブに考え、その状況をトレーナーの方に逐次報告。今までトレーニングできていなかった細かな筋肉のトレーニングができるチャンスと思ってリハビリに取り組みました。そして、積極的に試合会場に行ったり、外出をすることを心がけました。会社の人からは「よくその年で手術をしたね」と言われたり、練習仲間からは「リハビリは痛くて大変でしょ!よくやるね!」と苦笑いされました。リハビリ期間中、私よりランキングが低かった選手のランキングが上がっていくのを見て悔しい思いもしました。しかし、毎日の変化に対してワクワクすることができたのは事実。その後、今までのやり方を統合的に見直して取り組んだことで、少し時間はかかってしまいましたが、全日本出場という目標も達成でき、今でも、次の目標を立てて現役でアマチュア選手を続けています。マインドセットとホリスティックなアプローチが目標達成につながったと思っています。
「プレッシャーの中長時間働く」:インハウスロイヤーとして、毎日プレッシャーの中働いています。そして、エモーショナル・イーティングも経験しています。私が取り入れたのは、マインドフルネス・メディテーションです。1日のうち約1~2%の時間をマインドフルネス・メディテーションに使っています。その結果、心の安定や余裕ができ、徐々に明晰さや集中力がついてきて、優先順位のつけ方が改善され、効率よく物事を進めることもできるようになったと思います。そして、エモーショナル・イーティングも改善しています。家族とのかかわり方も変わったと思います。
問題に対する解決策は人それぞれ。自分に合った1つの解決策を取り入れることで、複数の問題解決のきっかけが見つかり、前向きにチャレンジし続けることができ、その結果、目標達成をすることができるのです。
法則3:生物学的個性を理解している、自分にあったアカウンタビリティコーチを見つける
目標達成への近道は、自分の課題を客観視し、自分だけの解決策を見つけて、実行に移すことです。
しかし、自分のことを客観視することはとても難しいですし、客観的なフィードバックをもらわない限り、課題を正確に捉えることは難しいと思います。また、結果がでないと思うと心配になり、なかなか、前に踏み出せないこともあると思います。
欧米では常に結果をだすことを求められている方の多くは、客観的に自分の課題や行動についてフィードバックしてくれるコーチをつけて、大局的に物事をとらえ、統合的(ホリスティック)にそれらを観察できるようにしています。
問題は、どのようなコーチをつけるのがよいのか?
それは、生物学的個性を理解している、あなたに合ったアカウンタビリティーコーチです。
「アカウンタビリティ」とは一般的には「説明責任」と訳されますが、コーチングでは、「主体性」「当事者意識」という意味で使い「自ら進んで仕事や事業の責任を引き受けていく意識」のことを意味します。
アカウンタビリティコーチは、クライアント自らの問題に対して誠実に向き合い、クライアントの「自分にできることは何か」、「もっと良くできることはないか」、「誰の協力を得たらいいか」といったセルフトーク(心の声)を促すように、パワフルな質問や動機付けインタビューなどのテクニックを使ってコーチングを行います。その結果、クライアントは高いパフォーマンスを発揮することができるようになります。(※※※)
人それぞれ、体重、身長、性別、年齢、血液型、出身地、ライフスタイル、価値観等は異なります。
例えば、持久力系競技と瞬発力系競技では、トレーニング方法が異なります。また、ダイエットも体重や年齢によってその方法が異なります。そして、トレーニングをする理由も、試合に勝つためにトレーニングをする人もいれば、健康維持を目的としてトレーニングをする人もいます。
流行のやり方や、一般化された情報や解決策が、全ての人に効果的なわけではありません。その人の課題に対して、その人に合ったコーチングができるコーチが望ましいのです。
私の場合、ビジネスエグゼクティブコーチをつけて、リーダーとしての立ち振舞いを学んだり、スポーツでは技術面はもとより、客観的に課題について考えさせられるような指導をしてくれるコーチをつけています。そのコーチも目標達成へのジャーニーを後押ししてくれたと思っています。
あくまでも、主役はあなたです。生物学的個性を理解し、課題解決のプロセスと目標達成への道を一緒に歩んでくれるアカウンタビリティーコーチは、チャレンジし続けられる喜びを共に分かち合えるよきパートナーでもあります。
Leap of faith 出来ると信じで一歩踏み出してはいかがでしょうか?
「あたなは、あなたの食べ物でできている(you are what you eat) 」と言いますが、私は、「あなたの食事には、あなたの人生が反映されている(Your plate is your life.™)」と思います。
「なぜ食べるのか、何をどのように食べるのか、いつ食べるのか(why you eat/what & how you eat/when you eat)」
食事を摂る目的や意味など、「食べるという行為」は私たちに色々なことを教えてくれます。
私たちホリスティックヘルスコーチは、「食事を摂る」ということ以上に「ライフスタイル等の私たちを取り巻く環境」が重要だと考えており、結果を出すには、その両方のバランスが大切だと考えています。先日blogで書いたエモーショナル・イーティングは、そのバランスが崩れた結果現れる行動パターンです。
私も最高のパフォーマンスをしたくて、「スポーツ栄養学」の勉強をしたり、ネットで書いてあることは試したり、トレーナーをつけてトレーニング方法を変えたりもしました。しかし、食事、トレーニング・練習、生活環境をそれぞれ単体でとらえていたため、結果がなかなか出ず、「気合が足りないせいだ」と、自分を責めたりもしました。その結果、毎年目標は未達、調子があがると怪我をする。何が足りないのかと途方に暮れることもありましたが、ホリスティックヘルスコーチングとの出会いが、目標達成へのジャーニーの始まりでした。
健康・ウエルネスは、単なるゴールではなく、目標達成に必要な手段だと私は考えています。
多くのアスリートやコーポレートアスリートと呼ばれるビジネスエグゼクティブ、そしてプロフェッショナルは、結果を出す為のトレーニングに集中しすぎて、アスリート・コーポレートアスリート・プロフェッショナルである前に一人の人間であることを忘れがちです。そして、気合と不安の狭間で悩んでいると思います。
誰にでも、成長のチャンスや伸びしろはあります。
Go beyond sports nutrition!
今回ご紹介した「目標達成への3つの法則」があなたの目標達成へのヒントになることを願っています。
(※)Haleo Zoneにて配信されている「Foundation of Athlete Wellness™」で実際のやり方について学べますのぜ、ご興味があれば、是非ご視聴ください。
(※※)Haleo Zoneにて配信されている「Foundation of Athlete Wellness™」で、体重の増減を例にして、エネルギーのINとOUTに影響を与える「食事や運動」以外の様々な要因について説明しています。
(※※※)Haleo Zoneにて配信されている「Foundation of Athlete Wellness™」で、パワフルな質問の実践方法をご紹介しています。また、「Nutrition Performance Communication」で、動機付けインタビューの実践方法をご紹介しています。
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