これまでお世話になった方々からの貴重な御意見を踏まえて、前回のblogでもご紹介いたしましたが、WEBを改訂することにしました。
そして、WEB改訂を記念して、それぞれの分野でゲームチェンジャー(game changers)としてご活躍されている方にAthlete Wellness®についてお話を伺ってきました。とてもinspiring (インスパイアリング/ワクワクする)なお話です。
菅原さんは、トータルゴルフフィットネス(TGF)の代表をされており、多くのプロゴルファー、プロゴルファーを目指している選手、そして生涯ゴルフを楽しみたいスポーツ愛好家の方の指導をするゴルフトレーナーです。
トータルゴルフフィットネスのトレーナーの皆さんは、「ゴルフ寿命をより長く、より多くの方にゴルフを通じて健康になってもらいたい、それができる体作りのお手伝いをしたい」という想いでトレーニングサポートを行っています。
トータルゴルフフィットネスは、ゴルフの技術に必要な体の使い方、柔軟性の向上等、従来のアプローチとは異なるやり方を取り入れ、「ゴルフトレーナー」というコンセプトを確立し、ゴルフ業界に新しい風を吹かせたゴルフ専門のジムです。
菅原さんは小学校低学年の時から野球をやっていました。野球少年時代に出会った指導者や、選手時代の怪我の経験が、トレーナーになったきっかけだそうです。
現役選手時代、練習についていくのがやっとでした
Lottie:現役時代、練習以外に何か取り組んでいたことはありましたか?
菅原さん:小学校3年生から高校卒業まで野球をやっていたのですが、とにかく貧血がひどくて、練習についていくのがやっとでした。よって、食事の大切さはそのころから実感していました。兄弟全員貧血に悩んでいて、パフォーマンスを上げる食事には家族全員で取り組んでいました。実家がピーマン農家なので野菜中心の食事でしたが、意識的にたんぱく質を取り入れるようにしていました。
Lottie:そうだったんですね。食事以外に何か取り組んでいましたか?
菅原さん:指導者にも恵まれていました。小中高と通じて出会った指導者の先生から、ストレッチによるコンディショニングを整える大切さを教わりました。当時はストレッチの重要性はあまり理解していなかったのですが、怪我をしない体を作るにはストレッチは欠かせないと、トレーナーになった今だからこそ、その重要性が理解できるようになりました。
この時の経験がトレーナーとしてのベースです
Lottie:素晴らしい指導者との出会いって大切ですね。
菅原さん:はい。とても感謝しています。トレーナーはどうしても体視点で物事を考えてしまいますが、その中で「健康な体があれば健全な心が宿る」、つまり、コンディショニングをよい状態にすればよい心ができると教わりました。だから、体づくりに特化したトレーニングを重視していました。
Lottie:そうなんですね。選手をサポートする側になって、今はどう思いますか?
菅原さん:今でも、健康な体がないと健全な心は宿らないと思っています。選手の心は、選手がいる環境に影響されると思っています。だから、健全な環境作りを心掛けています。
Lottie: その考え方は、ヘルスコーチが最も大切にしている「外部環境を整えることは心の栄養につながる」と似ていますね。
菅原さん: そうですね。当ジムでは、恒例行事として、トレーナーと選手がゴルフやトレーニング以外のことをやるようにしています。例えば、滝行、山行、富士山に登る等。1つのことを一緒に成し遂げる力、成し遂げる時間を共有することを大切にしています。
Lottie: スポーツ心理学において「アスリートと指導者の関係」はとても重要なテーマです。アスリートと指導者との信頼関係、どうやって信頼関係を作るかが最も大切と学びました。TGFで行っている行事はまさしく、信頼関係を築く為のアクティビティーなんですね。
菅原さん:その通りです。信頼関係を築けないとダメなんです。自分も現役時代、怪我が多くて指導者の先生や整骨院の先生に沢山お世話になりました。選手にとって、トレーナーは身近な存在で、なんでも相談できる相手でないとダメなんです。当ジムでは、選手はもとより、ゴルフ愛好家の会員様のゴルフ寿命ができる長くなるようトレーニングサポートをしていますが、それには信頼関係を築くことが非常に大切だと考えています。
アスリートウエルネス、統合的なアプローチが今求められている
Lottie:私は、アスリートウエルネスを「持続可能なパフォーマンスを支える心技体のバランスの基盤。現役中はもとより第二の人生においても生き甲斐を見つけて、輝く人生を実現できる基盤」と定義をしていますが、現役時代、そしてトレーナーとなった今、この定義を聞いてどう思われますか?
菅原さん:そうですね。トレーナーはどうしても体視点で考えてしまいます。体のことについては専門家ですし、コンディショニングをよくするための技術を持っています。しかし、痛いところがある選手は気分的に落ち込みますし、その結果眠れなくなったりします。このような負のスパイラルは、心技体のバランスを崩す原因だと思います。体の健康を一番に考えて、心を整えることを考えています。
Lottie:そうなんですね。
菅原さん:トレーナーは体の専門家です。体のことを勉強してきて、コンディショニングの方法をアスリート・スポーツ愛好家に教えます。しかし、最高のパフォーマンスを支えるには、複合知が必要で、「コンディショニング+α」ができるトレーナーが必要になってきます。だから、そのようなトレーナーを教育していくことが大切だと考えています。そのような視点から、オンライン勉強会などを頻繁に行っています。
Lottie:まさしくホリスティック(統合)なアプローチですね。
菅原さん:「体視点で考える」、これは自分の強みでもありますが、弱みでもあると思っています。心と体、どっちが先か?ではないと思いますが、心技体のバランスがとれることがパフォーマンス向上には必要です。Lottieさんが提唱しているAthlete Wellness®コーチングは、「心と体の栄養を統合的に考え整えるアプローチ」だと理解しています。このような統合的アプローチは、今後トレーナーにも必要になっていくと思っています。
Lottie:Athlete Wellness®の考え方は、スポーツ愛好家にも当てはまりますか?
菅原さん:この考え方は、選手だけでなく、普通の人、ビジネスマンにも当てはまると思います。特に、ビジネスリーダの方は、corporate athleteと呼ばれているようですが、結果を出すことを常に求められている人にとって、心技体のバランスは必須です。また、「健康寿命」という言葉がありますが、当ジムでは「ゴルフ寿命」とうい言葉を使います。心身ともに健康でないとゴルフも楽しめませんからね。
今こそセルフケアは大切です
Lottie:2020年は誰もが想像しえなかった時代になりました。柔軟な対応(レジリエンス)が求められており、それには、セルフケアが重要とも考えられています。菅原さんは何かセルフケアを行っていますか?
菅原さん:セルフケアはとても大切だと思います。自分は、朝のルーティンとして、ストレッチ15分、自転車で出勤、帰宅してからストレッチ、しっかり風呂に入る。これを毎日続ける。現役時代に教えてもらったストレッチに関する考えが、このルーティンのベースとなっています。ストレッチをすることで、体の硬いところをチェックします。その結果、その日のコンディションの状態がわかります。ストレッチはコンディションのバロメーターだと思っています。
Lottie:アスリート・スポーツ愛好家にとってもセルフケアは大切ですか?
菅原さん:はい。とても大切だと思います。トレーナーは常に一緒にはいられないので、自分で体の状態のチェックができるようになることは大切です。人に依存せずに、コンディショニングの技術を身に着けて健康になる。そのような考え方が大切です。自分の体の状態を知ることが健康への第一歩だと思います。
アスリートウエルネスとは、いい人生・いい生活を送ることができる基盤です
Lottie: 菅原さんにとってアスリートウエルネスとは何ですか?
菅原さん:いい人生・いい生活を送ることができる基盤だと思います。体を鍛える、メンタルのことを勉強する。それぞれ単体でとらえてしまってはダメだと思います。統合的に捉え、心技体の3つのバランスが整っている状態を常に作ることが大切です。バランスを取れている状態は、健康な体で健全な心の状態だと思います。
新しい風をトレーナー業界に!
Lottie: 最後の質問です。ホリスティックヘルスコーチLottieに期待することを教えてください。
菅原さん:多くの方にゴルフを楽しんでもらいたいと思っています。それには、ゴルフ寿命を長くすることが大切だと思います。トレーナーは体の専門家ですが、スポーツ寿命を長くするには、体のトレーニングだけでなく、メンタル、食事と統合的なアプローチが必要だと思います。その意味で、Lottieさんが取り組んでいることは、今、まさに必要とされていることだと思います。是非、新しい風をトレーナー業界に!と思います。また、自分自身も学びたいと考えています。シンプルなことから教えてもらえたらと思っています。
インタビューを終えて
「心技体のバランスを整えることは大切」と、言うのは簡単でも、実際に整えることは難しいと思います。多くの選手・ゴルフ愛好家の方をサポートしてきた菅原さんは、その難しさを実感しているのだと思いました。
また、「ゴルフフィットネス」というコンセプトを日本に導入し、ゴルフ業界に新しい風を吹かせ、次は「複合知をもったトレーナーを!」と、常にチャレンジする姿勢を持たれていることはとても印象的でした。
実は、菅原さんがスカッシュ選手であったこともあり、私も約10年前から彼にトレーニングサポートをお願いしています。
その間2回膝の手術をしていますし、なかなか結果がでなくて落ち込んだりもしました。
しかし、諦めず競技を継続でき、1回目の手術の後、ワールドマスターズトリノ大会で金メダル(Bクラス)、2回目の手術の後、全日本選手権への出場も叶いました。
これは菅原さんのお陰だと思っています。また、HALEO ZONEで提供しているトレーナー・コーチ向けのオンデマンド講座も受講していただき、「まさに今求められている複合知!統合的に本質を学べて内容の濃い講座!」とコメントも頂きました。本当にありがとうございます。
私もそうですが、選手は、「トレーナーは身近な存在。自分にとって足りないことを的確に指摘してもらい、サポートしてもらいたい」と考えます。
選手の立場から、菅原さんがおっしゃっている、食事・メンタルの統合的なアプローチができるトレーナーは、これから求められていくと私も思います。
菅原さんのお陰で選手寿命が延びていると思っていますし、これからも伸び続けていくのだと思います。
私なりの方法で恩返しができたらと思っています。
お忙しい中、貴重な時間をいただき、本当に感謝しています。ありがとうございました。
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