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「正しいスポーツマンシップ、それは真の『心技体』そのもの 人間力を育てることが大切!」True Nature Meditation プログラムディレクター 河津祐貴さん

4回シリーズでお届けしています、WEB改訂記念インタビュー記事。


それぞれの分野でゲームチェンジャー(game changers)としてご活躍されている方に、Athlete Wellness®についてお話を伺ってきました。第3回目はHALEOのCSOの三崎さんでした。


今回は、最終回です。


河津さんは、True Nature Meditationで、より多くの方にメディテーションを正しく理解し、無理のない範囲で日常生活に取り入れていただきたいと考え、その普及に力を注いでいます。


実は河津さん、約20年前はスノーボードの選手をしていて、現役を引退してからは、ワールドカップ等、数多くの国際大会の企画・運営に携わっています。


温暖化の今、スキーのワールドカップの期間は短くなってきているものの、少し前までは、10月から3月まで長期に開催されていました。


その間、大会関係者、選手、コーチら全員が競技会場を転々とする生活をします。


長期にわたって国際大会を支える側にいると、選手やコーチらの様々な場面を見ることができます。また、選手だった人がコーチやスキー連盟のスタッフになったりと、アスリートの変わりゆくライフステージも数多く見届けることになります。河津さんは、そのような経験から、プロ・アマアスリート向けにアスリートメディテーションを教えています。


瞑想家、そして国際スポーツを支える仕事と2つの視点から、興味深いお話を伺うことができました。



パフォーマンス向上には統合的なトレーニングが必要


Lottie:現役時代、技術練習以外に何か取り組んでいたことはありましたか?


河津さん:ヨガをやっていました。筋力アップ、柔軟性アップ、呼吸の仕方の点で、自分に合っていたと思います。勿論、一般的なトレーニングもやっていたのですが、ベテラン選手になっていくにつれて、フィジカルトレーニングだけでは限界があると感じていました。


Lottie:なるほど。


河津さん:スノーボードの場合、筋力だけではなく、柔軟にバランスを保ちながら体を使っていきます。また、競技特性かもしれませんが、転倒をすることもあるので、脱臼したり、捻挫したりと怪我をすることも多いです。いかにリカバリーを早めるか、怪我をしない体をつくるかが大切になってきます。色々試した中で、ヨガが一番自分のニーズに合っていたので、毎日積極的にやっていました。また、動きも面白かったので、楽しく続けられました。その結果、滑り方が変わり、パフォーマンスも向上しました。



アスリートも一人の人間、そのことを考えてほしい


Lottie:私は、アスリートウエルネスを「持続可能なパフォーマンスを支える心技体のバランスの基盤。現役中はもとより第二の人生においても生き甲斐を見つけて、輝く人生を実現できる基盤」と定義をしていますが、現役時代そして瞑想家となった今、この定義を聞いてどう思われますか?



河津さん:とてもいいと思います。瞑想家と国際スポーツを支える者、この2つ視点で考えても、この定義は本質を捉えていると思います。そして、これから本気でスポーツ界が考えて取り組んでいかなければならない要素が含まれていると思います。ワールドカップ等国際大会の企画運営を通じて、オリンピアン、トップアスリート、そして彼ら・彼女らをサポートするチームスタッフと長年にわたり関わっていますが、大会が無事開催され無事終わるには、選手、コーチ、スタッフ等、そこに携わる人の誰一人欠けてもダメなんです。そこには、様々なヒューマンストーリーがあります。選手だった人がコーチになったり、スキー連盟のスタッフになったりと、感覚的には関係者全員が家族と同じなんです。20数年携わっていますが、Lottieさんが提唱している「Athlete Wellness®」は、自分が経験してきたこと、そしてその経験を通じて考えてきたことと合致しています。とても重要なことだと思っています。


Lottie:そうなんですね。具体的に教えていただけますか?


河津さん:「心技体」とは、日本古来からある、武道でよく使われる言葉だと思います。しかし、多くのスポーツが本当に心技体全てをトレーニングしているのか?と考えた時に、疑問に思うのです。体を作ること、技術を高めることのトレーニングをやるのは当然ですが、心のトレーニングはどうでしょうか?スポーツ心理学は最近少し注目され始めているようですが、近代的なトレーニングの発展を見ると、勝つために技と体にフォーカスしたトレーニングと、そのプロセスを補完するための心のトレーニングだけのように思えます。心は全てのことの下支えとなるものです。体・技を動かすのは心です。つまり、心は、体と技の基盤なのです。その心のトレーニングが表面的若しくは限定的であっては、短期的にパフォーマンスを向上することができても、長期的にはパフォーマンスを下げることになるだけではなく、アスリートの心は病んでいきます。


Lottie: もう少しわかりやすく説明をしていただけますか?


河津さん:つまり、心は分母、体と技は分子。Lottieさんが提唱しているAthlete Wellness®は、「その分母と分子の両方をバランスよくトレーニングしましょ!」と言っているのだと思います。


Lottie:なるほど。アスリートウエルネスのピラミッドのことですね。


河津さん:メンタルトレーニングで勝つために集中力を高める、試合で緊張しない為に心を強くするという視点で心のトレーニングをする。これはあくまでも限定されたトレーニングで、「心全体をどのように扱うのか?」という視点でのトレーニングではないのです。そのようなトレーニングでは、仮に結果を出せても、本当の意味で目標達成したと言えるのでしょうか?


Lottie: 確かに。私が学んだ「スポーツ心理学」は、勝つためのメンタルトレーニングについて勉強はしましたが、履修科目の大半は、アスリートのメンタルヘルスの問題について考えさせられる内容でした。アスリートを取り巻く環境は様々で、オリンピックを目指す選手は、小さい時から英才教育を受けます。そして、学生スポーツは、学生スポーツならではの課題もあります。アスリートが「どうして、どのようにして、心の問題を抱えてしまうのか?予兆は?予防方法は?心の問題を抱えてしまったら、どのようなサポート方法があるのか?精神科医・カウンセラー・学校・親・地域等それぞれの役割は?」と「アスリートも一人の人間だ」という視点でアスリートのウエルネスについてどのように向き合い、どのように対応していくか?という内容が沢山含まれていました。そして、何より多くの指導者が受講していたのが印象的です。


河津さん:長年に渡り、オリンピアン、トップアスリートを見ていますが、本当に心全体の扱い方を知らないと残念なことになるのです。アスリートを取り巻く環境は様々です。現役中に想定外の問題に直面した時、引退後何も準備なく社会に放り出された時等、多くは語られませんが、アスリートは戸惑いを隠せないだけでなく、不適切な行動に走る場合もあるのです。その原因の一つは、「心全体をどのように扱うのか」という視点で心の扱い方を学習していないからだと思っています。



指導者こそ、全ての基盤である「心」を育てることの重要性への理解が必要


Lottie:そうすると、アスリートを支える指導者の責任は大きいですね。


河津さん:その通りです。アスリートのベネフィットを一番に考えると、指導者は、アスリートウエルネスについてしっかり理解し、心全体の扱い方についても考える必要があると思います。海外の選手と日本の選手を比較した場合、この点に大きな違いがあると感じます。OSに例えてお話をすると、PCのスピードや機能をグレードアップさせるために最新の5G対応のアプリを入れても、その基盤となるOSがwindows 3.1であれば、そのアプリは起動しませんよね。基盤のバージョンアップをして初めて、最新のアプリは起動します。それと同じなのです。技術や体力はアプリで、それを支えるOSが心。下支えをする心ができていないと、技術・体力を習得しても、アスリートはついていけなくなります。つまり、心全体が育っていないアスリートの問題は、アスリートを支える指導者とその環境にあるのです。指導者や環境に問題があると、アスリートは技術と体だけ鍛えればよいという考えになってしまいます。そして、メンタルヘルスの問題や不適切な行動を起こすと、「心が弱い選手がいけないのだ!」という理屈になってしまうのだと思います。


Lottie: 興味深いですね。医療、栄養学もそうですが、スポーツ心理学も欧米の方が研究は進んでいいます。日本も学ぶことが多いですね。


河津さん:そうです。このことは、競技種目に限らないと思います。たまたま、運動神経がよい、センスがよいからトップ選手になる人もいます。しかし、トップアスリートを目指す場合、ジュニアの時から多くのものを犠牲にして一生懸命練習をすると思います。そこに、心全体を育てるトレーニングが含まれないと、勝ち負けで全てを評価してしまい、負けたら練習が足りないからと言って、更に選手を追い込むようなトレーニングをしてしまうのです。トップアスリートが社会的問題を起こしたという事件の報道を見聞きするたびに、「なぜ?」と思う人は少なくはないでしょう。しかし、多くのアスリートは、気合と不安の狭間で悩んでいて、心の扱い方を学ぶトレーニングを受けていないから、そのような残念な結果になるのだと思います。時々、サポートする側がそのような環境を作ってしまっているからなのでは?と考えてしまいます。その意味でも、指導者は、「心をちゃんと育てる」という視点が必要になりますし、アスリートウエルネスは絶対に必要だと思います。



スポーツは人生のベースを安定させる


Lottie: 生涯現役を考えているスポーツ愛好家にとっても、アスリートウエルネスは大切になってきますか?


河津さん:はい。同じように必要だと思います。スポーツのすばらしさは、ウエルネスの向上だと思っています。スポーツは、心と体のバランスに寄与していると思います。心と体のバランスを崩してしまうのは、頭ばっかり使っているからで、これは、ビジネスマン、家庭の主婦、多くの人に言えることです。「自殺者が増えているのは、心と体のバランスが崩れてしまっていて、頭だけて様々なことを認知し、自分の視点で評価判断し、深みにはまってしまう。そうなると、体に意識を向けるということをしなくなる。そのようなサイクルを繰り返していくと、どんどん負のサイクルにはまってしまう。少しでも、体に意識を向けることができたら、その負のサイクルを止めることができるのでは?」これは、とある精神科医と、心と体の関係性について話し合った内容です。昔は、畑を耕したり、何をするにも今ほど便利ではなかったので、体を使う機会が多かったと思います。しかし、今はどうでしょうか?体を使う、動かす機会が少ないと思います。スポーツは、体を動かすきっかけになりますし、スポーツをすることで、人生のベースを安定させる手段を得る事になると思います。


Lottie: 私もスポーツの力はすごいと思っていますし、スポーツに助けられたことが沢山あります。


河津さん:例えば、歯を磨かないと虫歯になり、その結果心筋梗塞など深刻な病になったりします。同じように、体を動かす機会が少ないと運動不足になり、様々な問題が出てきます。だから、スポーツで体を動かす機会を作るとよいと思っています。しかし、体によいから始めても長続きしません。スポーツを楽しむことができたら、長続きします。スポーツを楽しんでもらうということが大切です。


Lottie: 「スポーツを楽しむ」これは大切ですね。スポーツ愛好家のみならず、多くの選手は、その競技が好きで始めたと思います。しかし、勝ち負けだけにこだわったり、負けたら自分を責めながら練習をすることで、いつの間にか大好きなスポーツが嫌いになったりします。これは、ジュニア選手によくみられる傾向です。結果を求められすぎで、期待に応えたいという気持ちが大きすぎで、「心から楽しい」という気持ちがなくなってしまい、スポーツをすることがストレスになることはよくあります。スポーツ愛好家にとっても、スポーツがストレスになっては、体によくても逆効果ですね。


河津さん:本当にそうですね。



今こそ心のありようについて考えるべき


Lottie: コロナ禍は、柔軟な心、心のありようについて考えさせられる機会となったと思います。レジリエンスには、セルフケアは必須と考えられています。何か、セルフケアをされていますか?


河津さん:自分にとってセルフケアは、メディテーションです。自分が勉強しているメディテーションは、伝統的なチベット仏教メソッドに基づいたメディテーションで、約2500年余り続いているメソッドです。このメディテーションは、「自分のことをよく見る、自分と友達になる」というところから始めます。多くの人は、「自分のことはよく知っている」と思っていると思います。しかし、ここで言う「自分のことをよく見る、自分と友達になる」とは、「自分の良いところ悪いところ全てをありのまま受け入れる」という意味で、意外とできていないものなのです。レジリエンスには、柔軟に対応できる心の余裕という意味も含まれると思います。その余裕があれば、対人関係においても、柔軟に対応ができるのでしょう。その意味でも、セルフケアは大切ですね。


Lottie: コロナ禍、練習ができなくなっているアスリートは沢山います。そして、不安に感じている選手は沢山いると思います。どうしたらいいでしょうか?


河津さん:メディテーションは、不安な時や、限定された空間でしかトレーニングができない時にできるトレーニングです。メディテーションは、心を落ちつかせるところから始まります。多くのアスリートは、漠然と不安を感じ、これからどうなるのか?と色々な思いを巡らせていると思います。自分が勉強しているメディテーションは、心全体をコントロールする練習です。基本的なメディテーションを学んでほしいと思います。



正しいスポーツマンシップとは、真の「心技体」そのものであり、人間力を育てることが大切


Lottie:河津さんにとってアスリートウエルネスとは何ですか?


河津さん:正しいスポーツマンシップだと思います。多くの人は、スポーツマンシップの一側面しか見ていないと思っています。正しいスポーツマンシップとは、真の「心技体」そのものだと思います。


Lottie: 最後の質問です。ホリスティックヘルスコーチLottieに期待することを教えてください。


河津さん:多くの海外のアスリートと長年付き合ってきていていつも思うのですが、日本のスポーツ界では、「心のトレーニング=根性論」という考えがいまだに根付いています。最近、スポーツ心理学が流行り始めて、メンタルコーチをつけたりして、勝つための心のトレーニングを取り入れているチームや選手は少なくはありません。しかし、海外のトップ選手を見ていると、人間力、人としてのファンダメンタル(基盤)をしっかり鍛え、その上で、技術・体を鍛えています。日本と比較すると、この人間力と人としてのファンダメンタルに対するアプローチの違いを感じます。この違いは、引退後のセカンドキャリアに影響すると思います。アスリートも一人の人間です。この考え方やアプローチは日本のスポーツ界に必須だと思っています。Lottieさんが活躍すればするほど、今のスポーツ界に新しい風が吹くことになり、違う一面のスポーツを見せることになると思います。色々な意味で波風が吹き大変だと思いますが、競技種目に関係なく、アスリートウエルネスは、アスリートのみならずアスリートをサポートする指導者にも必要だと思います。海外の指導者は、本当によく勉強をしていますし、プロフェッショナルです。日本の指導者もしっかりアスリートウエルネスについて勉強し、その視点でアスリートと誠実に向き合ってサポートしていくことで、日本のアスリートもパフォーマンス向上はもとより人間力を備えた一人の人間として育っていくのだと思います。「アスリートだからしょうがない」という言う人はいますが、アスリートだからこそ、統合的なアプローチが必要で、今は、そのことを伝えるチャンスだと思います。また、アスリートウエルネスは、常に試合結果を求められている人だけでなく、ビジネス成果等で常に結果を求められている人にも当てはまると思います。大変だと思いますが、応援しています。



インタビューを終えて


長年国際スポーツと関わり、オリンピアン、トップアスリートや指導者の方と関わってきた河津さんから、瞑想家としての心のありよう、人間力、そして、社会とのかかわり方について、本質に迫る興味深いお話を伺えました。


「アスリートウエルネスを伝えるには、ありのままの自分を見て、ありのままの自分を受け入れることができる、強くてしなやかな心のトレーニングから始まる。そして、人生の基盤である心のありようを鍛える、心全体のトレーニングを伝えていく」

そんなメッセージが込められていたと思います。


優しいまなざしの奥の情熱的なパッション。とても印象的でした。


実は、私も河津さんのアスリートメディテーションのプログラムを受け、集中力の向上や、コーチが驚くほどのパフォーマンスの違いを感じています。また、メディテーションプラクティスを通して、日々の生活に関しても考えさせられることが多々あります。


これも何かのご縁だと思っています。このご縁を大切にしていきたいと思っています。


お忙しい中、貴重な時間をいただき、本当に感謝しています。ありがとうございました。



終わりの言葉


4回にわたり、それぞれの分野でゲームチェンジャー(game changers)として活躍されている方からお話を伺いました。


菅原さんからは、「複合知も持ったトレーナー育成の必要性、アスリートウエルネスがその動きを後押しする」


村上さんからは、「アスリートセンタードコーチングとアスリートウエルネスとは根本は同じ、新しい価値をスポーツに!」


三崎さんからは、「アスリートも一人の人間、アスリートウエルネスを提唱するものは、アスリートと寄り添うセコンド役を!」


河津さんからは、「正しいスポーツマンシップとは、真の「心技体」そのもの、人間力を育てること。アスリートウエルネスには、心全体のトレーニングが必須!」

という、素晴らしいメッセージをいただきました。


アスリートとしてのご経験に加えて、アスリート、スポーツ愛好家、そして頑張っている人と向き合って得た様々なご経験があるからこそ、今何が求められているのか?をそれぞれの立場で感じておられるのだと思いました。


ゲームチェンジャー(game changers)の皆さんからのメッセージに、重みと温かさを感じます。


そして、インタビューを通じて沢山の気づきを得ることができました。


本当にありがとうございました。


微力ながら、期待に応えられるように頑張っていきたいと思います。


多くのアスリート、スポーツ愛好家、ビジネスリーダー、プロフェッショナル、そして、頑張っている皆さんにAthlete Wellness®を伝えるとともに、アスリート、スポーツ愛好家をサポートする指導者の皆さんにもAthlete Wellness®や統合的アプローチを伝えていけたらと思っています。


あくまでも、私見ですが、コミュニケーション1つをとっても、「人の心を扱っていることを理解しないで行うと、残念な結果を招く」と、様々な経験を通じて実感しています。


また、Your plate is your life.® あなたの食事には、あなたの人生が反映している。


是非、指導者、ビジネスリーダー、プロフェッショナル、親御さん、チームキャプテンに考えてもらいたい点です。


「結果が出ないからダメだと自分を責める」「できない自分をすり替えて、弱い自分に蓋をするアプローチ」等は、長期的にみてウエルネスに影響を与えます。常に結果を求められえている人、その方をサポートする人、立場は異なるけど、皆、一人の人間です。

少しでもそんなことを少しでも考えてもらえたら嬉しいです。


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